皆さん、こんにちは!
震災後Uターンして水産の世界に飛び込んだヒロヨシです。
魚は締め方で味が変化するというお話を
・魚の旨味が増す?魚屋さんが教える今話題の熟成魚の簡単な作り方を大紹介!
・【刺身好き必見】活け締めすれば美味い!魚を変える先人達の知恵
でご紹介してきました。
美味しい魚を食べるためには、旨みの素のATPをいかに残す事が重要なのですね。
今回は数多ある締め方の中でも最上級といわれる、神経締めをご紹介致します!
釣り人や、海の近くに御住まいの方は必見ですよ♪
目次
神経締めの効能
神経締めとは
神経締めとは、人の手で脳死状態を作り出す締め方です。
脳が出す『死にました』という命令信号を、神経を破壊することによって行き渡らないようにします。
手順としては、
- 脳を破壊する
- 脊髄を破壊する
- 血を抜く
ちょっと残酷な気もしますが、これもお魚を美味しく食べるに編み出された人間の知恵です。
ATPの消費を最小限に抑える
魚の旨みは、旨みの素であるATPの量で決まります。
しかしこのATP、生きているだけでも消費してしまうのです。
さらに、魚が暴れたり、ストレスを感じたりすると極端に減ってしまう事も、、、。
この減少をいかに無くすかが、美味しい魚を提供する最大の要因となるのです。
そこで神経締めの登場です。
神経締めをすると、このATPの減少を最小限に抑える事が出来ます。
生きているうちに締める事によって、暴れやストレスでのATP減少を抑え、
死後硬直が進行するよりも先に延髄及び中枢神経を破壊することで、 ATP自己消化(生命活動で消費するATP)も大幅に少なくなります。
旨みの素をたっぷりと残しているので、寝かせれば旨みたっぷりの魚を味わう事が出来るのです。
死後硬直を遅らせる
魚は絶命後、
絶命⇒死後硬直⇒死後硬直解除⇒腐敗
という段階を踏んでいきます。
要するに、死後硬直が終わり、身が柔らかくなると腐っていく、というわけですね。
神経締めをすると、死後硬直が始まる時間を遅らせる事が出来るので、その分鮮度を長持ちさせる事が出来るのです。
美味しいだけでなく、魚を流通させる場合でも効果を発揮する事ができます。
神経締めのやり方
では、神経締めのやり方をご紹介します^^
今回ご紹介するのは『放血神経締め』という、血抜きまでセットで行う神経締めです。
血抜きもするので、魚の臭みも無く純粋な魚の旨みを堪能することが出来るのですよ♪
1.魚を落ち着かせる
暴れさせてしまうとATPが減少してしまうので、魚を落ち着かせましょう。
まな板の上に置き、目を手で隠すようにすると魚が大人しくなります。
2.脳にスパイクを打つ
脳を破壊します。
魚種によって脳の位置は多少異なりますが、大体は目と目の間の眉間にスパイクを打ち込みます。
脳にスパイクが刺さると、魚の口がパカっと開きます。
3.ワイヤーを脊髄にいれていく
脳を破壊するために開けた穴からワイヤーを刺していきます。
正しく脊髄に刺さると、魚が痙攣し、ハイヤーが到達している部分のヒレが動きます。
最初は難しいかも知れませんが、回数をこなすとスピードも速くなりますよ!
4.血抜きをする
神経を破壊したら、血抜きをします。
エラから包丁をいれ、骨にそってある動脈を切ります。
ポイントは生きているうちに、血抜き処理を行うことです。
心臓が動いているうちに動脈を切ることで、しっかりと血が抜けるのです。
5.寝かせる
血抜きの終わった魚を寝かせます。
氷をしいたバットにビニールを引き、その上に魚を置き、ラップをします。
ポイントは氷と冷風を直接魚に当てない事です。
3日間ほど寝かせれば、柔らかく旨みが蓄積された身に驚かされますよ。
まとめ
神経締め、いかがでしたか^^?
とても手間がかかる締め方なので、市場での流通もまだあまり多くないのが現状ですが、
神経締めの価値がさらに広がり、スーパー等でも手軽に買えるようになると私は嬉しいです♪
是非生きた魚が手に入ったときはお試し下さいね!!
それではそれでは良いお魚ライフを~>゚))))))))))))))))>=<
水産加工会社の2代目/フードコーディネーター
震災後の2014年に東京からUターンしてお魚屋さんになりました。 お魚の雑学や、お魚を使ったレシピ等、「魚」にまつわるコンテンツを日々発信中!