トリッキーすぎる幼魚期!タテジマキンチャクダイとサザナミヤッコ

こんにちは!お魚大好き女子大生の鈴木ひらです。

突然ですが皆さん、この2匹のお魚を見てください!

右…作成者:Norbert Potensky/左…作成者:Vic Brincat (cadmanof50s) from Keswick, Ontario, Canada

とってもよく似た魚ですよね。
実はこれ、右がタテジマキンチャクダイの幼魚、左がサザナミヤッコの幼魚で、全く別種のお魚なんです。

そしてさらに驚くべきは、その成長した姿です!

左…作成者:Stan Shebs

右がタテジマキンチャクダイの成魚、左がサザナミヤッコの成魚です。

幼い頃の面影はどこへ…?!

今回は、そんなちょっとトリッキーなお魚たち、タテジマキンチャクダイとサザナミヤッコについてご紹介します!

タテジマキンチャクダイの基本情報

■分類:スズキ目 キンチャクダイ科 サザナミヤッコ属
■大きさ:成魚は大きいもので全長40cmにも達する。
■分布:太平洋からインド洋にかけて広く分布。日本では相模湾以南で見られる。

成魚は、頭を上にした時の縦縞模様が特徴的です。ちょっと紛らわしいですが、横縞じゃないんですよ!
目隠しのような黒い帯状の模様も特徴的ですね。

一方幼魚は、黒地に白と青の渦巻き状の縞模様という、全く違う装いをしています。
このことから、成魚は「タテキン」、幼魚は「ウズマキ」、模様が変わる途中の段階のものは「ウズキン」と呼ばれます。
この幼魚は、アニメ『呪術廻戦』のOP映像に登場したことでも話題になりました!

成魚は、沖合の海の岩礁やサンゴ礁の隙間で生活しており、あまり見かけることはありません。
一方、幼魚は黒潮に流されて沿岸部まで流れ着いてしまうことがあり、本州でも見られます。
このように、本州で見かけるタテジマキンチャクダイの幼魚は、海流に流されて、本来の生息域でない場所までやってきてしまった子たちなんです。
そのため、冬になって水温が下がると、暖かい海に戻れず成魚になる前に死んでしまいます。
このような移動は「死滅回遊」と呼ばれます。

気の毒になってしまいますが、移動先に運良く生息に適した環境があれば、新たに生息域を拡大できる可能性もあるんです!

全くの無駄死にではなく、タテジマキンチャクダイなりの戦略の一つなのかもしれませんね。

サザナミヤッコの基本情報

■分類:スズキ目 キンチャクダイ科 サザナミヤッコ属
■大きさ:成魚は大きいもので全長40cmにも達する。
■分布:太平洋からインド洋にかけての熱帯の海に分布。

成魚の模様は、タテジマキンチャクダイと比べると少し派手さは劣りますが、ヒレを縁取る綺麗な青色と体の形が素敵です。

一方幼魚は、サザナミヤッコも黒地に白と青の湾曲した縞模様という、成魚とは似つかない見た目をしています。
「サザナミ」という名前は、この幼魚の模様が波紋のように見えることに由来するそうです!

サザナミヤッコも、比較的浅い岩礁やサンゴ礁に棲む魚です。
こちらも幼魚の一部は、黒潮に乗って死滅回遊をします。
タテジマキンチャクダイと比べると、観察されるのは珍しいですが、本州沿岸でも見ることができます!

どうして幼魚は模様が違うの?

では、どうしてタテジマキンチャクダイやサザナミヤッコの幼魚は、成魚と全く違う見た目をしているのでしょうか?

その理由は、成魚の縄張り意識の強さにあります!
ヤッコの仲間はとても縄張り意識が強く、自分の縄張りに入ってきた配偶者以外の成魚を追い払う性質があります。
幼魚は、模様が成魚と全く違うことで、縄張り意識を刺激せず、攻撃されずにいろいろな場所を移動することができるんです!

また他にも、体の色を毒を持つウミウシなどに似せることで、捕食者に狙われにくくしている、白い模様を持つことで枝サンゴや海藻に擬態している、といった様々な説があります。

そっくり!幼魚の見分け方

そっくりな見た目のタテジマキンチャクダイやサザナミヤッコの幼魚、いったいどうやって見分けるのでしょう?

一つ目のポイントは、頭の「おでこ」あるいは「鼻筋」にあたる部分です。
ここに、顔を縦に走る白い線があるのがサザナミヤッコ、無いのがタテジマキンチャクダイになります!

二つ目の見分け方は、体全体の模様です。
「ウズマキ」の異名を持つタテジマキンチャクダイの幼魚は、背びれ付近に、湾曲した白線模様が繋がって楕円状になった模様があります。
一方、サザナミヤッコの幼魚の白線模様は湾曲していますが、楕円状にはなりません

いかがでしょうか?シチュエーションに応じて、わかりやすい方で見分けてみてくださいね!

タテジマキンチャクダイの飼育方法

タテジマキンチャクダイは約2年かけて成長し、ゆっくりと模様が変化していきます。
そのため、観賞魚としてとても人気のあるお魚です!

成長すると35cm~40cmほどと大きくなるので、120cm水槽などの大型の水槽での飼育が望ましいです。

また縄張り意識がとても強いので、同種のタテジマキンチャクダイや、他のヤッコの仲間との混泳は避けたほうが良いです。大きな水槽で岩陰などの隠れ場を用意すれば、不可能ではないですが、かなり難しいでしょう。

さらに、病気にあまり強くなく、肌荒れなどを引き起こしやすいため、水質管理には注意が必要です。

一方雑食性なので、餌にはあまり困らず、人工飼料にも問題なく餌付いてくれます

サザナミヤッコの飼育方法

サザナミヤッコも、模様の変化が楽しめるため、人気の高い観賞魚です!

こちらも成長すると35cm~40cmにも達する大型魚なので、120cm水槽などの大型の水槽が必要になります。

大型ヤッコの中では比較的丈夫で飼いやすい種ですが、後から水槽に入ってきた新参者を追い回すなど気が強い一面があるので、注意が必要です。
サザナミヤッコも縄張り意識が強いので、他のヤッコとの混泳は避けたほうが良いでしょう。
どうしても混泳させる場合には、小型でタフなタイプの種が望ましいです。

雑食性なので、人工飼料への餌付けにはあまり苦労しません

まとめ

いかがでしたか?

見た目麗しく、ちょっと個性的なタテジマキンチャクダイとサザナミヤッコについてでした。

幼魚を見つけた際には、死滅回遊という悲しい運命に思いを馳せつつ、ぜひどちらの種なのか判別してみてください!

それでは、素敵なお魚ライフを~

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