皆さん、今日は!
震災後、相馬にUターンしてお魚屋さんになったヒロヨシです。
最近、熟成魚という言葉を耳にしませんか?
またの名をエイジングフィッシュ。
2014年は、熟成肉がブームになりましたが、実はお魚にも熟成という概念があります。
しかし、熟練した職人の技があってこその熟成。
スーパー等で買ったお魚では少し難しいのが現実です、、。
失敗してしまうと、ただの腐ったお魚ですからね、、、(苦笑)
しかし!
ご自分で釣った魚であれば簡単に熟成魚が作れるのです!
今回はそんな、釣った魚で作る熟成魚の作り方を伝授いたします。
目次
熟成魚(エイジングフィッシュ)とは
新鮮≠旨い
熟成魚(エイジングフィッシュ)とは、「寝かせて旨みを引き出した魚介」の事を言います。
過去記事の、
【刺身好き必見】活け締めすれば美味い!魚を変える先人達の知恵
でもご紹介したように、お魚は必ずしも、新鮮≠美味いでは無いのですよ^^
釣ったばかりの魚は、身がコリコリして食感は良いのですが、旨みが薄くてその魚の持ち味が全然出ません。
なぜかというと、お魚は死んだ後に旨みが増すからです。
お魚は死後、身のATP(アデノシン三リン酸)という成分が、IMP(イノシン酸)という旨みに変化していきます。
この現象が俗に言う熟成ですね。
締めた(死んだ)ばかりのお魚は、このATPが旨み成分に変わっていないので、味が薄いという訳です。
最高に熟成されたお魚は、口どけが良く、魚が持つ旨みを最大限に感じることが出来て絶品!
刺身というシンプルなお料理だからこそ活かせる職人の業があるんですね~。
熟成の向き、不向き
食感を重視するか
そんな魔法のような熟成ですが、実は向き不向きがあります。
その判断基準として重要なポイントが「食感」です。
熟成させると旨みは増えますが、その代償に歯ごたえがなくなります。
そのため、コリコリとした食感を楽しみたい場合は熟成させないほうが良いです。
ここは好みによる部分が殆どなので、一概には言えないのですが、
- イカ類
- タコ類
- 貝類
等、旨みよりも食感を楽しむ傾向にあるものは、熟成が向かないとも言えます。
※但し、熟成させる事によって柔らかな歯ざわりと、濃厚な旨みを楽しむ事が出来るので、あくまでも好みです。
難易度が高い魚種
熟成させるととっても美味しいのですが、プロの技と判断が無ければ熟成が難しい魚種が存在します。
それはサバ、サワラ等の青魚類です。
鮮度劣化の早い青魚は、熟成の見極めが大変難しいのです。
それに加え、下処理が甘い状態で寝かせると、残った血や内臓に雑菌が繁殖します。
最悪の場合、ヒスタミン中毒を引き起こしてしまう可能性も、、、。
安全面から見て、家庭での青魚の熟成はやめておきましょう。
熟成魚を作るにあたっての壁
熟成魚は難しい
熟成魚の作り方は
『良い状態のお魚を仕入れ、処理をして寝かせ、最高に旨みが蓄積されているタイミングで食べる』
という、工程自体は非常にシンプルです。
しかし、シンプルだからこその難しさがあります。
その難しさの最たる要因が、魚を見る目が無ければ熟成させる時間がわからない、という事です。
材料となるお魚の状態の見極め
まず、熟成魚を作る場合は、その材料となるお魚が新鮮(良い状態)である事が必須となります。
お魚は、
絶命⇒死後硬直⇒腐敗
という段階を踏んでいくのですが、
そもそも『その魚がどのような状態』にあるかが解らなければ、その後の熟成させる時間も解りません。
そして、すでに痛んで旨みの素が抜けてしまったお魚をいくら寝かせても、旨みは戻ってこないのです。
スーパー等に並んでいるお魚は鮮度や状態の見極めが難しく、最悪お魚を腐らせてしまう、なんて言うことも、、、。
旨みが最大限に引き出されている状態の見極め
旨み成分が最大限に引き出されているタイミングは、魚によって違います。
マグロやブリなどの大型魚で、1週間ほど寝かせる場合もあれば、
小型のもので3日ほどの場合、はたまた1ヶ月寝かせる場合も!!
旨み成分が最大限に引き出されている状態とは、腐敗する一歩手前ですので、間違えてしまうと腐りかけて生臭くなってしまう可能性もあります、、、。
ここの見極めが非常に難しいんです。
釣った魚で、熟成魚を作る(塩締め)
上記、2つの問題を解決する方法があります。
それは、自分で釣っちゃう事です!(笑)
死んだ時間が解れば、腐敗が始まる時間も解りやすいので、安全に熟成魚を作る事が出来ます。
釣った魚の、釣り場での処理
まず、釣った魚は、釣り場で処理する必要があります。
それは、
【刺身好き必見】活け締めすれば美味い!魚を変える先人達の知恵
でもご紹介したように、生きている状態で、暴れたり、ストレスを感じたりすると、ATP(旨みの素)の成分が無くなってしまいます。
旨みの素が無ければ、いくら寝かせても旨みは増えません。
暴れたりストレスを感じる前に処理をして、ATPの消失を防ぐ必要があるのです。
①釣り上げる
②エラから包丁をいれ、延髄を絶つ
③海水に1時間程つけて、血を抜く。
④内臓、エラ、鱗をとり、腹を洗う。
⑤氷の入ったクーラーケースで寝かせる。
内臓までとる事がとても重要です!
魚が出す悪臭の原因の殆どがばい菌の繁殖です。
内臓や血が、ばい菌の温床となってしまうので、匂いが出る前にしっかり洗いましょう。
自宅に帰った後の処理
お家に帰ってから直ぐに処理を行います。
ここの処理さえ終わってしまえば、あとは美味しくなるまで待つだけなので頑張りましょう!
①魚をおろして、骨から身を取り外す。
②おろしたお魚に薄く塩を振る
塩を振ることで、水分と一緒に臭みが抜け、旨みを凝縮させることが出来ます。
③キッチンペーパーでおろした魚をつつみ、バットに並べてラップをかける。
冷風が当たらないための工夫です。冷風が直接当たってしまうと乾燥してしまいます。
④釣った時間(死んだ時間)+36時間を計算して寝かせる。
釣ってから、しっかりと温度管理がされていれば、36時間で腐敗する事はまずありません。
「 安全に熟成を行える目安 」、としての36時間ですので、ここの長さは魚の状態を見極められるようになってから色々と試してみて下さい^^
⑤塩を洗い流して、新しいキッチンペーパーで水気を拭き取って完成!
もちろん刺身も美味しいですが、焼きにしてもその違いは歴然です。
都内で熟成魚を食べるならここ!
手軽に熟成魚を食べたーい!
そんな方に、東京で熟成魚が食べられるお店をご紹介いたします^^
熟成魚場 福井県美浜町 日本橋本店
TEL 03-3527-9696
住所 〒103-0027 東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワーB1
アクセス
地下鉄銀座線 日本橋駅 徒歩1分
地下鉄東西線 日本橋駅 徒歩1分
都営浅草線 日本橋駅 徒歩1分
JR 東京駅 徒歩5分
営業時間
月~土・祝前日
/11:30~14:30(L.O.14:00)
/17:00~23:30(L.O.22:50)
日・祝日/17:00~23:00(L.O.22:20)
定休日 不定休日あり
平均予算
4,500円(通常平均)
5,000円(宴会平均)
1,000円(ランチ平均)
まとめ
熟成魚、如何でしたでしょうか^^
魚の状態を見極められるようになったら、よりお魚を楽しめますよ♪
釣りに行かない方も、生きたお魚を手に入れる機会があったら試してみて下さいね。
水産加工会社の2代目/フードコーディネーター
震災後の2014年に東京からUターンしてお魚屋さんになりました。 お魚の雑学や、お魚を使ったレシピ等、「魚」にまつわるコンテンツを日々発信中!