貝毒とは?潮干狩りで採った貝は安全?症状から発生状況、対策まで!

こんにちは!お魚大好き大学生の鈴木ひらです。

突然ですが、みなさん貝はお好きですか?
春には、潮干狩りで採ってきた貝を食べるのも楽しいですよね~。

でも貝を食べる際には、ちょっと気をつけなければならないことがあります。
それが貝毒です。
知らずに食べて食中毒になってしまうと、時には命に関わる恐れもあるのです!

美味しい貝を安全に楽しむためにも、貝毒の危険性や原因、対策方法について見ていきましょう!

貝毒とは?どうして貝が毒を持つの?

貝毒とは、二枚貝などが有毒な微細藻類を餌として食べることで、体内に蓄積させてしまった有毒成分のことです。

渦鞭毛藻や珪藻などの微細藻類の中には、人間にとって有毒な成分を産生するものがいるんです。
時々誤解されがちですが、これは「汚い海にしかいない」というわけではないため、綺麗な海で採れた貝でも、貝毒には注意が必要です!

二枚貝は、海水中に漂っている微細藻類を、エラで濾し取って食べる「濾過食者」と呼ばれる生物です。
彼らは微細藻類を選り好みせずに濾過して食べてしまうので、有毒な藻類も取り込んでしまい、毒化してしまうのです。
微細藻類の毒は、二枚貝にとってはへっちゃらなのですが、残念ながら私たち人間には様々な害をもたらします。

では、貝毒による食中毒には、どんな症状のものがあるのでしょうか?

様々な貝毒

貝毒による食中毒は、原因となる微細藻類や有毒成分ごとに、症状が異なります。

下痢性貝毒

■原因物質:オカダ酸、ジノフィシストキシン-1など
■有毒微細藻類:渦鞭毛藻(Dinophysis fortii類など)
■貝の種類:ムラサキイガイ、ホタテガイ、アサリ、イガイ、チョウセンハマグリなど

主な中毒症状は、吐き気や腹痛を伴う下痢、嘔吐などです。
食後30分から4時間の短時間で症状が現れます。
回復が早く2、3日で治り、後遺症や死亡例の報告もありません。

一方で発生頻度が高いため、養殖業者さんたちの頭を悩ませている貝毒です。
日本では、1976年に宮城県で初めてムラサキイガイによる集団食中毒が確認されました。

また、貝が毒を持っているかどうかは見た目では判断できず、調理加熱しても毒性は弱まりません。

麻痺性貝毒

■原因物質:サキシトキシンなど
■有毒微細藻類:渦鞭毛藻(Alexandrium catenella類など)
■貝の種類:アカガイ、ホタテガイ、ムラサキイガイ、ウバガイなど

食後30分以内に症状が現れ、軽度の中毒では吐き気や口唇のしびれ、筋肉の脱力などが見られます。
やがて重症化するにつれて、運動失調や言語障害、呼吸麻痺などの症状が現れ、最悪の場合には呼吸停止を経て心肺が停止し、死に至ります

フグ毒に匹敵するほどの高い致死率を持つ貝毒で、人における最小致死量は1~2mg程度です。
神経毒なので作用機構もフグ毒と同じで、神経や筋肉などの細胞のナトリウムチャネルの働きを阻害し、神経伝達を遮断することで作用します。(フグ毒について詳しくは:https://somanoonchama-mag.com/blog/fugudoku/

原因となる渦鞭毛藻は、温帯海域から熱帯海域まで広く分布しているため、アジアやヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、オセアニアなど世界中で食中毒が発生しています。
日本でも、過去に数名の死亡事例があります。

こちらも、貝が毒化しているかは見た目で判断できず、調理加熱では毒性は弱まりません。

神経性貝毒

■原因物質:ブレベトキシン
■有毒微細藻類:渦鞭毛藻(Karenia brevis類)
■貝の種類:カキ、イガイなど

こちらは、日本ではまだ発生が認められていない貝毒です。
しかし、原因となる渦鞭毛藻類は東京湾以西で確認されているため、今後問題となる可能性がないとは言い切れません。

症状としては、口内のしびれ、運動失調、温度感覚異常などの知覚異常が、食後1~3時間ほどで現れます。また、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状を伴うこともあります。
2、3日で回復し、死亡例はありません。

アメリカやニュージーランドで時々発生し、過去にフロリダ州で集団食中毒が起こったこともあります。

こちらも、貝が毒を持っているかどうかを見た目で判断することはできず、調理加熱では毒性は弱まりません。

記憶喪失性貝毒

■原因物質:ドウモイ酸
■有毒微細藻類:系藻(Pseudo-nitzschiamultiseries類など)
■貝の種類:ムラサキイガイ、イガイ、 ホタテガイ、マテガイなど

過去の発生事例は、1987年にカナダで起こった集団食中毒の、たった一件のみです。
その際は、107名が食中毒を起こし、うち3名が死亡する事態となりました。

症状としては、食後数時間以内に吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、頭痛などの症状が現れ、重症の場合には記憶の喪失や混乱、平衡感覚の異常などが見られます。症状が進行すると、けいれんや昏睡を経て、死に至る場合もあります。

貝が有毒かどうかは見た目では判断できず、調理加熱では毒性は弱まりません。

治療方法

下痢性貝毒、麻痺性貝毒、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒のいずれにおいても、解毒剤や特効薬などの特異的な治療法はありません

下痢性貝毒に対しては、症状に合わせて痛み止めや下痢止め、吐き気止めなどの措置ができますが、基本的には毒が体外に排出されるのを待つしかありません。

また、死に至る恐れのある麻痺性貝毒に対しては、毒が体外に排出されるまでの間、人工呼吸によって呼吸を補うことで、救命が可能です。

一方、神経性貝毒や、死に至る恐れのある記憶喪失性貝毒に関しては、現時点では有効な中毒対策はありません。

毒化した貝を食べないようにすることが、最も根本的な対策のようですね!

どんな貝が危険なの?

では、どのような貝を食べると、貝毒にあたる危険があるのでしょうか?

市販の貝は?

スーパーや市場で購入した貝は、基本的には安全です!

日本では、貝毒食中毒の発生防止のために、各都道府県ごとに貝毒の検査や出荷規制が行われています。
具体的には、都道府県ごとに、貝の生産海域の有毒微細藻類の発生状況が定期的に調査されています。その上で、貝毒検査によって下痢性貝毒や麻痺性貝毒の値を測定し、結果が基準値を超えた場合には出荷を規制しています。
また、出荷規制を解除する際は、その後の貝毒検査で3回連続して基準値を下回らなければいけません。

このようなモニタリングが徹底されて以降、市販の貝による貝毒は報告されていません。

一方で、日本でまだ報告されていない神経性貝毒や記憶喪失性貝毒に対しては、監視体制や規制値は定められていません。

潮干狩りで採った貝は?

一方で、潮干狩りなどで自分で採取した貝は、安全とは言い切れません

有料の潮干狩り会場の場合には、貝毒の発生が認められれば閉鎖されます。
しかし、その他の海域で自家用に採取した貝は、無毒である保証がないため、注意が必要です。

安全に潮干狩りを楽しむには、出かける前に、各都道府県が公表している海域の有毒微細藻類や貝毒の発生状況を調べて確認しておくと良いでしょう!

また微細藻類は、海水温が上昇する3月頃から発生し始め、春先から夏にかけて多い傾向にあります。
特に夏場は、特定のプランクトンが異常発生する「赤潮」が発生していることがあり、このような海域では貝毒のリスクも高いと言えます。
赤潮が発生している海域では、潮干狩りは避けた方が良いかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたか?

貝毒と言っても様々で、中にはちょっと恐ろしい症状の食中毒もありましたね。
春の風物詩である潮干狩りも、正しい知識を持って、安全に楽しめると良いですね!

それでは、素敵なお魚ライフを~

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事