【後編】海なし県から水産学部へ!長崎でクジラの研究をする大学生の話

みなさん、こんにちは!
生まれも育ちも海なし県、現在山の中で農学を学ぶ現役大学生のミユウです。
そんな私が、今まで触れる機会がほぼなかった「海」のこと、「魚」のことを知るために、奔走する過程をお伝えしていくものです!

本日は”前編のリンク貼る”の後編、現役水産学部生のみつきくん的水産学のおもしろさと今後の展望に迫ります。

今回のゲスト

ニックネーム:みつきくん
大学:長崎大学 水産学部 海洋生物科学科
出身:長野県出身
好きな魚:ヒゲクジラ

なんで鯛は赤いのか、きっと全部に意味がある。

みつきくん

最近になって思ったのは、タイを見た時に、”なんでコイツ赤いんだ?!”とかさ。
マッコウクジラとか、パッと見たときにマッコウクジラってわかるんだけど、”なんでコイツボコボコしているんだ?”ってこと。
それら全部に、きっと意味があるなってことに気づいて。
人間だったら、物をつかむために手があって、自然淘汰で手があるやつが生き残る。
じゃあ、タイはなんで赤色かっていうと、光が水に入ってった時に一番最初に反射しなくなる色が赤色。
鯛の住んでいる水深では、赤が一番見えなくなる色で、捕食動物に見つからないように赤なんだって。
キンメダイは、めちゃめちゃ目がでかくて赤いけど、それは小さい光を集めて捕食するけど、自分はばれないように赤なんだとか。
陸の生物もだけど、海の生物は特殊な形をしていることが多くて、その1つ1つは行動と形態がリンクしているから、なるほどなぁって思う。
めちゃめちゃおもしろいんだよね。尾びれの形も、マグロは大きな三日月のように2つに分かれた形で、カサゴは台形。
マグロは遊泳で、ずっと振っていくから同じスピードで、ある程度漕げるけどそんなにしっかり漕がないから、その形に。
カサゴは、獲物が来た時にパッといけるようにするためには、効率よりも、1かきでぐんと漕げるかの方が必要だからとかね。 マッコウクジラは、表面がぼこぼこしていて、さらに特徴的なのが、頭が体の3分の1を占めているんだよ。
で、骨格が出てると思いきや、そこに油が入っているんだよね。
その油を石油とかが発掘される前には、アメリカではクジラを捕ってその油を燃料にしていた。
マッコウクジラがすごいのは、何百 ㍍とかめちゃめちゃ潜るんだよ。
何百㍍も人が潜るとき、人なら水圧で死んでしまうわけ。
このマッコウクジラはこの体のボコボコで水圧を逃がしている。
この油が凄くて、油の融点が水温の前後なんだよ。
人が水圧で死ななかったとしても比重の関係で浮いちゃうじゃん。
そこで鼻から水を入れて、この油を固形にして下に落ちているらしい。
逆に水を体内に入れずに、油を体温で温めて液体にして上に浮いてくる。
これ面白いよね。こういうことをもっと知りたい。
魚とかクジラとかって、どっかで祖先を辿れば人間と繋がっているわけじゃん。
もともと人間は魚から進化してきて、えらがなくなるのはわかるとしても、じゃぁ肺ってどこからきたんだろうとか。
浮き袋なんだけど、そういうのを聞くとなるほどなぁってなるの。

食べるって、大事だ。

みつきくん

漁具があるから。漁具工学っていうのがあって、網目をどうするかとか、漁の方法を聞く授業が有るんだよね。
重さ、素材を何にするかとかね。その研究室では漁師さんから相談を受けて研究するから、直接漁師になるのとは、違う関わり方があるね。
素材なんて何でも良いじゃんって思っていたんだど、色んな繊維でも水を吸うやつと吸わないやつがあって、相当大きな網をバッと投げて回収して船の上に上げると、相当な重量になるんだよ。
それに気づかずにいると、船が沈没しちゃうこととかあるんだよね。
それを防ぐための、網の開発の研究とかね。そうなると、船舶工学とかも知っていないとだしね。
なんで船が浮いているのかの勉強もあるよ。 農学部では、農家出身の人ってあんまりいないし、就職で農家になろうとしている人もそんなにいない。
水産学部でも漁師の家出身はいないし、漁師になる人もいない。
農業も漁業も関係人口減っているところって共通しているところだよね。
大学出てから、漁師になりましょうっていう道はほぼないもんね。
難しいけど、めちゃめちゃ大変なところだよね。入り口がそこってわけじゃないから。
漁師になってくださいって言うのは簡単だけど、実際になるのは難しいことだと思うんだよね。
肉食分化が増えているけれど、だからといって、牛を飼育する面積が増えているわけではないし、限界もある。
水産業の色んな話を授業で聞けば聞くほど、水産業ってポテンシャルがあるんだよ。
外国でも刺身食ったりするようになっているけど、それは昨今のことだから浅いじゃん。
けど、日本ではずっと食べてきているから、分化が洗練されているし、漁場としてのポテンシャルも高いんだけど、それに気づいている人が少ないんだと思うんだよね。
そういう事実をきっと知っているだけでも、じゃあ漁師になるかって言うと必ずしもそういうことではないかもしれない。
直接一般的にポテンシャルとか洗練された分化を感じられていないことの方が非常に勿体ないんじゃないかって思ったりもしてね。
でも普通に生きていると知る機会がないことも多いよね。 漁獲量も、みんな獲れば一気に漁獲量は増えるし、世界の漁獲量も伸び続けているんだけど、頭打ちになるんだよ。
漁業としてはもう頭打ちになっているんだけど、それでも、漁獲量が上がっているのは、養殖が色んなところで始まっているから。
つまり、漁業としては漁獲量は下がるけど、養殖業が上がり続けているから、漁獲量の全体としては伸び続けているんだよ。
そんな中でも、世界でほぼ唯一日本は落ちているんだよね。でも、それが正解かと言われたら正解とも思ったりもする。
でも、長崎とかきて刺身食べると、やっぱうまいよ。食べるって大事だなって思うよね。
農業も同じだと思うけど、仕事と食べるを繋げられるって、分野として少ないだろうから大事だなって。

食べて選ばれたものが残る。水産でも農業でも、背景まで知っていたら、選ぶものも変わるかもしれない。そんな未来のためには、それを「知る」ってことも同じくらい大事なことかもしれない。

100人に1人くらい、水産に興味を持ってくれる人が現れたら、それはめちゃめちゃ嬉しいことじゃん。

みつきくん

水産学部来て、何になるのかなって分からないままここまできたんだけど、最近、教員になろうかなって思ってる。大学院まで行くつもりなんだけど、水産高校と普通高校の理科の免許を取っていてさ。俺が大学に行くときに、先生たちは教育学部を出ている人が多いし、長野の人たちなんだよね。

だから「水産系のところに行きたいです」って言ったときに、長野県だとあまり前例がないから先生たちも分からないんと思うんだよね。
海洋大が駄目で、「次長崎大を受けるってなったときに、試験方法はこういうのがありました」っていったら、先生たちに「そうなんだ」って言われて、俺、それ聞いたときに「終わったなぁ」って思ってさ。
すごいサポートしてくれているなってのはわかったんだけど、「先生たちは、本当に何も知らないんだな」って思って。
それは先生たちが悪いって意味ではなくて「水産学部っていうのもあるよ」って言う人がいないんだって思ったんだよね。
それが例えば、そう言える人間がその中に1人でも入って、100人に1人くらいが、水産に興味を持ってくれる人が現れたら、それはめちゃめちゃ嬉しいことじゃんね。
だから、そういう人間がカッコイイというよりも、これはまずいなっていう危機感から、教員になりたいなって思ってる。実際、俺が高校の時、絶望的だったからね。(笑)
教員は長野県でもやりたいけど、水産高校の教員も、水産学部で学んだことの濃縮版を教えられるから、それはそれでやってみたい。
長野県には水産高校はないから、どうしようかなって思うけど。高校の生物とかってさ、全知全能かのように教わるけど、それは隠されていただけで、大学に来ると、わかってないことばっかりじゃんってなるじゃん。
そうやって、水産へのアプローチが生物の中であったら、もっと面白くなるし、他の先生たちと違う面白いことができるかなって。だから、教員になりたい。

いつか長野県からも、水産高校を目指す、次の担い手が現れる日もそう遠くないのかもしれない。2人の共通点として、水産を語る姿が輝き過ぎている。そんな姿を見ていたら、そう思わずにはいられなかった。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございます。同郷から、全く別の地で違う分野を学びつつも、農業と水産で共通する部分もたくさん感じた。こんなにも刺激的なことはないだろう。学んでいることに対して、熱量を持って、それを伝える若者がいる業界か、否か。それは未来の姿を投影しているようにも思えたのでした。

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