たまらなく美味い、でも食べるのは危険?!魔性の深海魚バラムツとは

こんにちは!お魚大好き女子大生の鈴木ひらです。

みなさん、脂の乗ったお魚はお好きですか?
身がジューシーで、刺身や塩焼きなど、シンプルな料理で美味しく味わえるのが嬉しいですよね!

でも中には、脂が乗りすぎていて困る、なんて魚もいるんです。
その代表格がバラムツという魚で、知らずに食べるとお腹が大変なことになってしまうんです…
一方で、そのリスクを冒してでも食べたい!という一部の熱狂的ファンがいるほど美味という噂も聞きます。

今回は、そんな魔性のお魚、バラムツについて掘り下げていきます!

バラムツの基本情報

■分類:スズキ目 クロタチカマス科 バラムツ属
■大きさ:1~2メートルの大型魚
■生息場所:水深400~850メートルの深海。夜になると浅い表層に浮上してくることが多い。

色は黒っぽく、大きな目に鋭い歯、そして鋭く尖った鱗が特徴的です。
鱗は素手で触ると、棘が刺さって怪我をしてしまうので気をつけなければいけません!
英語ではOilfishという名前で呼ばれており、やはりその脂肪が有名だということがわかります。

食べると危ない?バラムツの脂

バラムツの脂はなぜ危険?

悪評高いバラムツの脂ですが、一体何がそんなに問題なのでしょうか?

体脂肪率約20%という脂肪の多さはもちろんですが、本当に厄介なのはその成分です。
バラムツの脂肪の、実におよそ90%が「ワックスエステル」という物質なのです。

ワックスエステルは、一般的に魚や動物が持つ脂肪とは化学的に全く異なり、ろうそくの蝋と同じような物質です。
そのため、人間が消化できず、食べてもお腹を下してしまうのです。

何のために脂を持っているの?

では、バラムツは何のためにこんな特殊な脂を持っているのでしょう?
その答えは「浮力調節」です。
多くの魚は、鰾(うきぶくろ)という、ガスの詰まった袋状の器官を使い、水中で浮かぶための浮力調節をしています。
ところが、高い水圧に晒される深海では、ガス調整による浮力調節が難しいのです。
そのためバラムツなどの一部の深海魚は、鰾の代わりに、比重の小さい脂肪を全身に含ませることで浮力調節をしているのです。

ワックスエステルで浮力調節を行う深海魚は、アブラソコムツやオオメマトウダイなど、バラムツ以外にも結構たくさんいます。
シーラカンスやマッコウクジラもワックスエステルを持っています。

また、ワックスエステルには浮力調節の他に、エネルギーを貯蔵する役割も果たしていると言われています。

食べたらどうなるの?

そんな人間が消化できない脂をたっぷり含んだバラムツは、食べすぎるとお腹を下してしまいます

しかし、通常の下痢とは少し症状が違います。
恐ろしいことに、腹痛などが生じることはあっても、便意が生じないのです。
そのため、消化吸収できなかったワックスエステルが、コントロールできずに肛門からそのまま流れ出てしまうという事態が発生します。
ワックスエステルを摂取して消化不良を起こしてしまった場合には、長期間トイレの個室に閉じこもるか、おむつを履くしか対処法がありません。

毒性はなく、体に害を及ぼすものではありませんが、だからと言って食べるのは賢明な判断ではないことがお分かりかと思います。

バラムツに出会ってしまったら?

バラムツを買ってしまったら

そんな恐ろしい魚がいるだなんて、うっかり食べてしまったらどうしよう!と思うかもしれませんが、ご安心ください。
日本では、1970年から食品衛生法に基づいて販売が禁止されており、流通していません。
同様にワックスエステルを多く含むアブラソコムツも、販売禁止に指定されています。
そのため、スーパーや市場で誤って買ってしまう心配はありません。

一方、台湾など、海外では普通に流通している国もあります。
市場や飲食店などで魚を買う際は、事前にちゃんと下調べした方がいいかもしれませんね。

バラムツを釣ってしまったら

バラムツに出会うとしたら、漁師の方や深場釣りをする方でしょう。
今度は釣り人の皆さんが、バラムツがうっかり釣れてしまったらどうしよう!と心配になるかもしれませんが、こちらもご安心ください。
リリースしてあげれば、元気に海に戻っていきます。

深場で釣りをしていると、魚の口から鰾が飛び出て、とても弱った状態で釣れてしまうことがありますよね。
ですが先述したように、バラムツは脂肪を使って浮力を得ているので、鰾を持たないのです!
そのため、急激な水圧の変化を物ともせずに、元気な状態で表層まで上がってきてくれます。

私の知り合いがバラムツを釣り上げた際、はじめ何の魚かわからず、バラムツを空気に晒したまま船上でスマホで調べたそうです。
そこで食べられない魚だと知り、慌てて海に戻してあげたそうなのですが、ちゃんと元気に深海へと泳いでいったそうです。

ありがたいことに生命力の高い魚ですので、釣れてしまった際は無理に持ち帰らず、リリースしてあげるのが得策でしょう。

それでもバラムツを食べてみるなら

流通が規制されているバラムツですが、釣ったものを個人で食べて楽しむ分には、法的に問題はありません。

過剰摂取すると恐ろしい症状を引き起こしますが、お刺身2切れ程度の量なら安全に楽しめるとも言われています。
柔らかく脂の乗った身は非常に美味しいと噂され、漁師や釣り人の中には根強いファンもいるそうです。
しかし、中毒量は不明で個人差もあるので、明確に「どれくらいまでなら食べてもセーフ」といった線引きはできません。

絶対に推奨はできませんが、どうしても食べたい場合は相応の覚悟を持って、必ず自己責任でお召し上がりくださいね。

まとめ

一部のファンを魅了する魔性のお魚、バラムツについてでした。

最後に、本記事はバラムツを食べることを推奨するものではありませんので、召し上がる場合は自己責任でお願いします!

これからも、安全にお魚ライフを楽しんでいきましょう~

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