皆さんは「歩留まり」という言葉をご存知ですか?
「歩留まり」と書いて「ぶどまり」と読みます。
製造業の現場でよく使われる言葉ですが、お魚の話にもよく出てきます!
あの魚は歩留まりが良い、あるいは悪い、なんて言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
今回は、そんな歩留まりについて、主に魚の話を例に見ていきましょう!
目次
歩留まりとは?どうやって計算するの?
まず、製造業などで一般に使われる「歩留まり」という言葉の意味は、
“投入した原料や素材の量から期待される製品の生産量に対して、実際に得られた製品の生産量の比率”
だそうです。
……なんだかあまりピンときませんね笑。
つまり、
ということです。
歩留まりが高いほど、不良品の割合が少ないということになります。
工場などの製造現場において、人のミスや機械のトラブルを完全に無くすことは不可能なので、どう頑張っても不良品は生じてしまいます。
そのため、歩留まりが1になることはありませんが、なるべく1に近づけることが大切になってきます!
歩留まりと歩留まり率の違いは?
「歩留まり」とよく似た言葉に、「歩留まり率」という言葉があります。
どちらも同じ比率のことを指しています!
「歩留まり」を比率、「歩留まり率」をこの比率に100をかけて百分率で表したもの、とする場合もあるようですが…
“%”で表された値のことを「歩留まり」と呼ぶことも多いですし、あまり明確な違いは無いようです。
魚における「歩留まり」とその計算方法
では、お魚における歩留まりとは、何を指すのでしょうか?
魚の歩留まりとは、丸の魚の総重量に対する、可食部の重量の比率のことです。
つまり、歩留まりが大きい魚ほど、食べられる部分が多く、廃棄してしまう部分が少ないことになります!
実際に歩留まりを計算する際は、丸の魚から内臓と頭を除去し、3枚におろして得られた左半身と右半身の合計の重さを計ることで、可食部の重量を割り出します。
この時、可食部である左半身と右半身は「フィレー」と呼ばれます。
魚によっては、ここで除去されるアラやカマ、内臓や卵にも食べられる部分がありますが、歩留まりを計算するときには、可食部として考慮しないことになっています。
魚の歩留まりは、魚の種類によって様々です。
また、同じ種類の魚であっても、大小や性別、栄養状態などによって大きく異なってきます。
魚の加工品における「歩留まり」
一方、魚の加工品の話をする時にも、歩留まりはよく登場します!
水産加工品における歩留まりとは、使用した原料の重量に対する、製造して得られた水産加工品の重量の比率のことを指します。
この加工品の歩留まりは、先述の過食部位の比率を表す歩留まりと区別するため、魚の「製造歩留まり」という呼び方をすることもあるようです。
歩留まりの良い魚・悪い魚の一覧表
魚の歩留まりは、その種類や状態、もっと言えば捌く人の腕などによって変わってきます。
ですが、一般に歩留まりの高いもので60%~70%ほど、歩留まりの低いもので40%を下回ると言われているようです。
タラやホッケなどの、頭や内臓が大きい魚などは、歩留まりが小さくなる傾向にあります。
他にも、消化器官の中にに食べたものを抱えている肉食の魚なども、歩留まりが小さくなる傾向にあります。
一方、カツオやマグロ、ブリなどの魚は歩留まりが大きい傾向にあります。
特に養殖物は、天然物よりも栄養状態が良く、丸々と太っているので、歩留まりが大きくなります。
魚の種類ごとの歩留まりは、下の表のようになります。(※あくまで目安です)
刺身にした場合のお魚歩留まり
魚の種類 | 歩留まり |
---|---|
ヒラメ類 | 30%~40% |
サバ | 35%~45% |
サケ類 | 45%〜55% |
ツブ類 | 15%~20% |
アジ | 30%〜35% |
イワシ | 30%〜35% |
マダイ | 25%〜30% |
ブリ | 35%〜45% |
可食部以外は捨てられる?
皆さんは魚の歩留まりの数値を見て、どのように感じましたか?
人によって違うと思いますが、もしかすると「意外と低いんだな」なんて感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
どんなに歩留まりの良い魚でも、魚の約3割は「食べられない」部分として扱われてしまいます。
では、この可食部以外の部位は、すべて廃棄されてしまっているのでしょうか?
そんなことはありません!
ブリやサケといった比較的大型の魚では、アラやカマも食用として売られることがあります。
また歩留まり計算では可食部に含めない、内臓や卵といった部位も、魚の種類によっては美味しくいただけますよね。
他にも、お出汁に使われたり、中骨缶などの加工品の原料として使われたりします!
さらに、私たち人間が食べられない頭や内臓、骨などの部位は、養殖場で魚の餌になることもあります。
日本で盛んに養殖されているブリやヒラメ、マダイといった海水魚は、ほとんどが肉食です。
そのため、これらの魚を養殖する際には、「魚粉」と呼ばれる魚を原料とした餌が欠かせません。
人が食べられない部位でも、養殖魚にとっての貴重な栄養源になり得るんです!
まとめ
お魚の歩留まりについてでした。
お魚屋さんや、水産業に携わっている方以外は、あまり馴染みのない言葉だったかもしれませんね。
歩留まりは、捌き方によっても大きく変わってくるので、魚を捌く際に少し意識してみると面白いかもしれません!
それでは、素敵なお魚ライフを〜
子供の頃から魚が大好きな女子大生。好きな魚はヒラスズキ。「見てかわいい、釣って楽しい、食べて美味しい」という最強のコンテンツであるお魚の魅力を、私なりの視点で発信していけたらと思います!