こんにちは!お魚大好き女子大生の鈴木ひらです。
みなさん、ツメタガイはご存知ですか?
棘のない、まあるい渦巻き型の、カタツムリのような殻が特徴的な貝です。
よく貝殻が砂浜に落ちているのを見かけますね。
普段は砂に潜っているので、あまり生きた姿を見ることはありません。
ところがこのツメタガイ、実はちょっと変わった習性を持っているので、その痕跡はしばしば目にすることがあるんです。
ツメタガイを見たことがない、という方でも、痕跡の方には心当たりがあるかもしれません!
今回は、そんな不思議なツメタガイについて、習性から食べ方まで見ていきましょう!
目次
ツメタガイの基本情報
■分類:吸腔目タマガイ科ツメタガイ属
■大きさ:殻長5cmを超える中型の巻貝
■生息場所:潮間帯から水深の浅い砂地の海に生息する。日本では北海道南部以南で見られる。
干潟や砂浜などで普通に見る事ができます。
淡い色の丸い貝殻が可愛らしいですが、足部が発達していて、伸ばすと貝殻全体を包み込んてしまうくらい大きいんです!
食用とする地域は少なく、食べ物としてよりも、アサリなどの食害の原因というイメージの方が一般的かもしれません。
また、不思議な形の卵を生むことでも知られています。
それでは、そんなツメタガイについて、もう少し詳しく掘り下げていきます!
アサリの貝殻に開いた穴は?
海で貝殻を拾うとき、2mmくらいの綺麗な穴が開いた、アサリなどの二枚貝を見つけることがありませんか?
実はこの穴、その二枚貝がツメタガイに食べられた痕なんです!
ツメタガイはアサリなどの二枚貝が大好物で、捕まえると…なんと!口から酸性の液を分泌して貝殻を溶かし、ヤスリのようにザラザラした歯舌で削って小さな穴を開け、そこから中身を食べてしまうのです。
丸くて可愛い見た目なのに、意外と怖いことするんですね…。
それにしても、硬い貝殻に器用に綺麗な穴を開けられるものです。
砂浜に落ちている砂茶碗は?
夏頃に砂浜に行くと、直径10cmほどの、砂でできたお茶碗のような不思議な物体が打ち上げられていることがありませんか?
そう、あれは実はツメタガイの卵塊なんです!
「あの砂の塊が卵なの?!」とびっくりされる方もいるかもしれません。
ツメタガイの雌は卵を産む時、砂の中に潜ると、粘液を出して砂を固めたものに卵を閉じ込めるそうです。
その際、丸い貝殻の側面を使って砂を押し付けるようにして固めるので、あのお茶碗のような形ができるんです。
出来上がった砂茶碗は、お母さんツメタガイが砂地の上までずり上げて移動させます。
そのため、浅瀬に落ちている砂茶碗の中を覗いてみると、まだ重労働を終えたばかりのツメタガイのお母さんがいることがあるんですよ!
ツメタガイは美味しい?積極的に食べるべき?
潮干狩りファンと漁師の天敵、ツメタガイ
そんな不思議なツメタガイですが、我々人間と同様アサリが大好物なので、厄介者として扱われることが多いんです…。
アサリ漁場や潮干狩り場で大発生してしまうと、せっかく育てたアサリがみんな食べられてしまいますからね。
特に、ツメタガイの仲間であるサキグロタマツメタという貝は、東日本や北日本の潮干狩り会場で猛威を振るっています。
実はこのサキグロタマツメタは、もともと東日本や北日本には生息していなかったようです。
何らかの原因で人為的に移入されたことにより、外来生物として生態系に影響を及ぼしているのです。
潮干狩り会場やアサリ漁場では、砂茶碗を陸に上げて孵化を防ぐ、といった方法で、ツメタガイやサキグロタマツメタの駆除が行われています。
美味しくアサリを食べているだけの本人(本貝?)たちに罪はないですし、サキグロタマツメタの食害に関しては、元を辿れば人間のせいなので…なんだか申し訳ない気持ちになります。
そんなツメタガイたちのためにも、人間が美味しく食べてあげるのが一番です!
知られていないけど、実は美味しい!
食用としてはあまり知られていないツメタガイですが、実はちゃんと調理すれば、とっても美味しい貝なんです!
千葉県の富津などの地域では、ツメタガイは「イチゴ貝」という名前で呼ばれ、古くから煮物などで食べられてきたそうです。
アサリの生産量日本一を誇る愛知県も、ツメタガイの利用促進に力を入れており、レシピ集なども公開しています。
愛知県の水産試験場は、なんとイメージキャラクターまで作っていました!
「干潟海賊団 女船長 うんねーちゃん」という名前だそうです。
髪の毛は大きな足部、服は砂茶碗がモチーフでしょうか?特徴を捉えた可愛らしいキャラクターですね~。
本記事では、そんなツメタガイの入手方法、下処理方法、そして煮付けのレシピをご紹介していきます!
どこで手に入るの?
砂浜などで普通に見られる一方で、スーパーや市場で売られているのはあまり見たことがないかもしれません。
流通量は少なく、まれにアサリに混ざって獲れてしまったものが売られる程度なのです。
そのこともあり、市場での値段は非常にお手頃です!
市場で買っても安く手に入りますが、潮干狩り会場などで探す方が確実かもしれませんね。
下処理方法
- 水から茹で、沸騰してきたら弱火にしてさらに茹でます。
この際、独特な臭みのあるアクが出るので、アク取りをしてください。 - 茹であがったツメタガイを冷水で冷やします。
- 爪楊枝などで殻から身を外し、内臓部分とフタを外します。
- 身についた砂をしっかりと洗い流します。
- 水洗いしてぬめりを取ります。取れなかったら塩もみするといいかもしれません。
煮付けのレシピ
一番オーソドックスな調理法ですが、絶品だそうです。
- ツメタガイは食感が硬いので、薄切りにします。
- 醤油、日本酒、みりんを加えた煮汁をひと煮立ちさせます。
比率は醤油:日本酒:みりん=1:1:1にして、分量は貝の大きさや数に合わせてください。 - 薄切りにしたツメタガイを入れ、再沸騰したら弱火にして15分ほど煮込みます。
磯の香りが立ち、コリコリした食感が楽しめます!
まとめ
厄介者扱いされがちですが、不思議な魅力のあるツメタガイでした。
アサリのため、ツメタガイのため、そして生態系全体のためにも、機会があればぜひ食べてみてはどうでしょうか!
私も今度潮干狩りに行ったら、何匹か持ち帰ってみたいと思います。
それでは、素敵なお魚ライフを~!
子供の頃から魚が大好きな女子大生。好きな魚はヒラスズキ。「見てかわいい、釣って楽しい、食べて美味しい」という最強のコンテンツであるお魚の魅力を、私なりの視点で発信していけたらと思います!