こんにちは、遠藤です。
前回の記事では、ボラの復権を果たすべく熱を込めて記事を書いてしまいました。
今回は、そんなボラを実際においしく食べるためにはどう処理すればいいのか、どんなレシピが考えらられるのかを簡単にまとめてみました。
ボラを食べてみようと思っている方、釣れたけどどうしたらよいかわからないという方、店頭でボラを見つめながら記事を読んでいる方。
ぜひこの記事も一つの参考に、ボラを楽しんでみましょう。
はじめに、前回の記事を読んでない人のために断言しておきます。
ボラはおいしい魚です。ただし、条件によっては食べられないこともあります。
さて、本記事は以下のようなコンテンツとなっております。
・ボラの旬
・可食部位
・ボラの処理や目利き
・ボラの食べ方 レシピ
目次
食べる為の基礎知識
ボラの旬
まずは時期的な話です。
ボラの旬は冬といわれています。これはボラの産卵期とも重なり、産卵のために脂がのっており、かつ沿岸を離れ回遊することで臭みのない個体が多いことから言われているようです。
「寒ボラ」と呼ばれるブランドも存在しますが、実際に脂ののったボラは甘みが格段に増し、大変な美味です。
そのため、冬にお店でボラを買う場合はあたりが多いです。
一方で、夏場のボラは食べれたものではないという話もありますが、それは一部間違っているといえます。
具体的には、ボラの臭みはやはり水質依存でしかないということです。
つまり冬場のボラは比較的きれいな沖を回遊するため基本的に臭みが少なく、夏場に沿岸部等にいるボラは条件によって臭くなるということが起きやすいのです。
ですので夏場のボラも、固体や条件によっては臭みが生じるものの、おいしく食べることができる場合も普通にあります。
夏だからと言って絶対食べれないということはありません。
ボラの食べられる部位
さて、次はボラの可食部の話です。
一般的に食べられるのは主に、
アラ(頭や骨、ひれなど)
身
卵
白子
幽門(へそと呼ばれる独自器官)
です。
特徴的なのはやはり幽門でしょう。
ボラは泥ごと食事をするため、それに対応して鶏の砂肝のような独自の器官が発達しています。
それが幽門です。あまり流通はしないものの、珍味として知られています。
また内臓以外はほとんどおいしく食べることができます。
こうしてみると無駄がない魚ですね。
こちらは気まぐれクックさんという超有名なYoutuberの方の動画ですが、幽門の食べ方から取り出し方までわかりやすく見ることができます。
臭みの無いボラの処理
釣った魚の処理
釣る場合の要点は二つ
・外洋に面しており川からの流入のないエリアなどを狙う
・釣りあげたら、生きているうちにすぐに殺して血を抜く
まず、釣るエリアを選ぶことで臭いボラにあたる確率を下げることができます。
単純な水のきれいさもそうですが、外洋に面している、川からの流入がないなどの条件がそろうエリアではおいしいボラが取れるといわれています。
より大事なのが、ボラを釣り上げてすぐに処理をすることです。
血抜きの方法はいくつかありますが、鯖折にすることで血ぬきをすることができます。同時に内蔵も取ってしまいましょう。
幽門を食べる場合は捨ててしまわないように注意が必要です。
買ったボラの処理
こちらも似たようなものですが
・鮮度の良いボラを買う(ハリがあり、黒っぽいもの)
・できるだけ早く処理を行う
基本的にはスーパーなどでは臭みの少ないものが多いはずですが、やはり鮮度はボラにおいて、というか魚全般においてですが、最重要です。
できる限り張りがあって、かつ黒っぽい体色をしているのが新鮮なボラの目印です。
さばき方
詳しいさばき方についてはYoutubeのこちらの動画など、とても分かりやすいです。
私が初めての魚をさばくときによくお世話になっているチャンネルでもあります。
ボラの食べ方レシピ
さて、ボラの食べ方ですが、基本的にボラはどのような料理にも使えてしまう万能な魚です。
ここで上げているのは一例として、いろいろな料理に使ってみるといいでしょう。
最初はボラ本来の味を知るためにも生で刺身などにすることがおすすめですが、もしどうしても臭みのある個体だった場合などは、火を通す調理にすることで軽減できます。
生食系
刺身
ボラの刺身はとてもおいしいです。
その味はマダイにも負けないといわれているほど。
良いボラが手に入ったらまずやってみたいものです。
最初はシンプルに醤油のみで、二口め以降で薬味を追加していくとボラの味がより楽しめるんじゃないでしょうか。
洗い
氷水でしめる、ボラの洗いもよく食される調理法です。
刺身にしては少し臭みがある場合などに洗いにすることでおいしく食べることも可能となることがあるので、そうした際にもお勧めできます。
カルパッチョ
ビネガーやオリーブオイルと合わせてカルパッチョにしてもおいしいです。
レタスなどの葉物野菜やケーパーなども合わせることで一気にイタリアンな味わいになります。
刺身のほうがそのものの味を楽しめるという側面はありますが、ワインのお供やバリエーションの一つとしてぜひお試しください。
焼きモノ&揚げモノ
塩焼き
刺身もおいしいが、焼いてもおいしいのがボラです。というよりも、江戸時代には焼き物としての食べ方が主流だったとか。塩焼きにする場合は筒切りにして塩を振り、しばらく置いてから焼いてみてください。ふっくらとして味わいのある仕上がりになります。
ボラの竜田揚げ
醤油やニンニク、みりんと漬け込み、片栗粉をまぶしてカラッと揚げれば出来上がりです。フワっとして大変美味なうえに、多少臭みのある個体でも食べれることもこの調理法のメリットですね。
汁モノ
ボラ鍋
ボラはよいだしが取れる魚でもあります。一度湯通ししたボラの身を使って、昆布や醤油仕立ての鍋を作るとボラの風味がとてもよく働くでしょう。冬の時期は暖かい鍋が恋しくなりますが、まさに冬のボラは脂ものって絶品です。
ボラのあら汁
アラからもとても良いだしがとれます。アラまで活用したいという場合はアラでだしを取った味噌汁がよいでしょう。アラは塩を振ってしばらくおき、霜降りをしてから酒やネギの緑の部分と合わせてだしを取っていきましょう。ブリのあら汁にも負けないおいしいあら汁が作れますよ。
幽門(へそ)の食べ方
刺身
生のまま刺身として食べることが可能です。
コリコリとした食感が特徴で、味わいとしては甘みが感じられるようです。
また、表面を軽くあぶってたたきにすることもおすすめです。あぶることでうまみが出て、香りも引き立ちます。
炒め物
火を入れて食べたいという場合は炒め物にも向いています。
ごま油とショウガなどと炒め、塩と胡椒で炒めるなどがよいでしょう。
白子の食べ方
ボラの白子をスーパーで見かけることは少ないかもしれませんが、実はふぐにも勝るといわれる絶品の白子を持っています。
調理方法はそんなに難しくなく、タラなんかの白子と似たような調理が可能です。
注意点として、血抜き、酒で臭みを取るなどの下処理はとても大事になってくるのでしっかりと行いましょう。
白子ポン酢
沸騰したお湯で白子を湯引きし、ポン酢やお好みの薬味でいただきましょう。
シンプルな調理ながら濃厚な味わいが楽しめます。
ボラの白子のてんぷら
こちらもタラの白子のてんぷらと同様です。
血抜きができている新鮮な白子は、ほかの食材で例えるのが難しいくらいの濃厚さとうまみを持っています。
卵巣
正直ボラの卵が生の状態で流通することはほとんどありません。
もし冬場に沖合でボラを釣ったなどの場合には手に入るかもしれませんね。
その時は自家製カラスミなんてどうでしょうか。
自家製カラスミの作り方
カラスミは要するに、魚の卵の塩漬けです。
タラコなどと違うのは漬け込む日数の長さや塩抜きなどの工程があること、加えて最後にはしっかりと乾燥させて固い保存食にするというところです。
家で使う場合は必ずしもボラの卵である必要はなく、ほかの魚の卵巣でも代用可能なようです。
具体的な工程です。
①血抜き
まずは血抜き作業が欠かせません。
血管に針などで穴をあけ、水につけ一晩おきましょう。
②塩漬け
次に塩漬けです。重量比20%程度の塩でつけましょう。
パットやピチットシート、キッチンペーパーなどを使って出てくる水分をとれる状態にしておきましょう。期間は約一週間です。
③塩抜き
好みの酒に一晩漬けて塩を抜きましょう。
④干す
最終工程は干しです。3時間ほど重しを置いて水分を抜いたら、天日で干していきます。目安は一週間ほどで、カチカチに固まる程度に乾いたら完成です。
一度はボラを食べてみよう
ボラはその臭さばかりが有名で、忌避されがちな魚です。
こんなにもおいしい魚なのに、誰にも食べられないというのはもったいないばかりです。
臭みがある場合は当然しょうがないのですが、よさそうなボラが手に入ったら是非一度は食べてみませんか。
東北大学の4年生
食べること、特に料理して食べることが好きです。
仙台はおいしい魚がいっぱいで楽しい毎日を送ることができています。