牡蠣の旬を徹底解説!お魚屋さんが教える本当に美味しい時期とは

皆さんこんにちは!
魚屋の高橋です。

今回は牡蠣の美味しい時期をご紹介しようと思います。

魚介を語る上で外せない「旬」は、産地、その年の水温によって変化しています。
また、美味しさも個体差や調理方法などによっても変わる為、本当に美味しいものを見極める事はとても難しいです。

そういった点を踏まえて、牡蠣の旬について少し突っ込んだ解説をしていこうと思います。

牡蠣の基本情報

旬のお話する前に、まずは牡蠣の種類を紹介します。

日本の食用牡蠣は大きく分けると2つです。

その2つで旬が異なるので、それぞれご紹介します。

マガキは冬が旬

鮮魚店やスーパー等の小売店でも見かける牡蠣は、ほとんどが本種です。
殆どが養殖モノで冷凍加工も盛んな事から、通年で楽しむことが出来ます。

マガキのシーズンは初秋~初春。
逆に5月~8月は産卵を迎える為、味が落ちてしまいます。
産卵を終え、10月くらいから味が戻り始める流れです。

生食用と加熱用で収穫時期が変化する地域もあります。

生食用

生食用牡蠣シェアNo.1の宮城県では、11月~2月に生食用牡蠣の全盛を迎えます。

「新鮮なら生食できるんでしょ?」と思う方もいらっしゃると思いますが、実はそうではありません。
牡蠣を生食するにあたって重要なのは「鮮度」では無く、「環境」なのです。

呼吸量の多い牡蠣は水質に影響を受けやすい為、菌数の少ない漁場が一番大切。

例えば、宮城県を含めた三陸は外洋に開けた地形になってますよね。

海水が滞留しづらく清潔な為、生食用牡蠣にはピッタリなんですよ。

加熱用

2月を過ぎると、生食用から加熱用に切り替わります。
海水温が10℃を下回るとノロウイルスの危険性が出てくる為です。

※ノロウイルスは中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱で死滅しますのでご安心を。

「生で食べられないのか~」と思う方もいらっしゃると思いますが、牡蠣が本当に美味しくなるのは加熱用に切り替わってからなのですよ。
5月あたりから始まる産卵に備えて栄養を蓄えているため、味わいも濃厚になります。

牡蠣を加熱調理して楽しみたい方は、加熱用牡蠣がおススメです。

ちなみに、加熱用牡蠣のシェアNo.1(水揚げ量)は広島県となっています。
宮城県産も小ぶりながら濃厚な味わいは健在なので、機会があれば食べ比べしてみて下さいね。


イワガキは夏が旬

マガキに次いで食用牡蠣として知られているのが「岩牡蠣(イワガキ)」です。

イワガキの産卵期はマガキと変わらず夏ですが、産卵期間が長く、栄養を一気に放出しません。

その為、産卵中の5月~8月が最も栄養を蓄えていて美味しい時期とされています。
殆どが生食で食べられ、独特な渋みと濃厚な旨み、さらには1個で満腹になってしまう程のボリューム感が楽しめます。

養殖が大半なマガキに対し、イワガキは天然モノが多い事も特徴として挙げられます。

潜水漁で水揚げされ、禁漁期間の冬はあまり流通しません。

夏の暑い時期に、生で食べていただきたい牡蠣です。


マガキとイワガキの違い

左がイワガキ、右がマガキです。

イワガキの方が大ぶりで、殻にも厚みがあります。

対してマガキは少し小ぶり。


味わいにも差があり、

・マガキがクリーミーな「海のミルク」と称されるに対し、

・イワガキは独特な渋みと濃厚さを持っていて「海のチーズ」と称されます。

どちらもおススメな美味しい牡蠣です。

牡蠣で食中毒にならない為に

Rの付かない月は牡蠣を食べるな!は本当?

良く耳にする「Rの付かない月は牡蠣を食べるな」という言葉。
Rが付かない月とは、英語表記した際にRが付かない5月(May)~8月(August)をさします。

元々の語源は1752年のフランスで出された法令で、冷蔵設備が無い時代に足の速い牡蠣を食べないように、と定めたのが始まりのようですね。

冷蔵設備が整っている現在ではRの付かない月でも牡蠣を流通させる事は可能ですが、産卵を終えた直後でやせ細っているため美味しくありません。
毒があるから食べるな、というよりは「美味しくないから食べるな」という意味合いが強いです。

あたらない牡蠣はある?

牡蠣=あたる
というイメージを持たれてる方は多いのではないでしょうか。

牡蠣であたるのは、毒では無くノロウイルスや腸炎ビブリオが原因です。
どちらの菌も、食べる直前に十分な加熱処理を行えばまず大丈夫ですが、生食する際には注意が必要です。

生食用の牡蠣は「食品衛生法の生食用かきの規格基準」をクリアしたものが流通しますが、この基準にはノロウイルスが入っていません。また、出荷後に飲食店や工場で入り込む可能性もゼロでは無いのです。

洗浄技術のオペレーション錬度の向上で被害件数は格段に減っていますが、必ずあたらない生食の牡蠣は存在しないという事も留意しておきましょう。


牡蠣は毒がある?

牡蠣やホタテ等の二枚貝は呼吸量が多く、毒性のあるプランクトンを溜め込んでしまう事があります。これが俗に言う貝毒です。
溜め込んでいるプランクトンの種類によって、麻痺性と下痢性に分類されています。

ちょっと不安を煽ってしまいましたが、自治体や漁協でしっかりと検査された牡蠣が出荷されるので、毒性のある牡蠣が流通する事はありません。

ご安心下さい。


イワガキの食中毒は?

イワガキの食中毒は、マガキと比べると少ない傾向にあります。
しかし、イワガキが旬は夏なので、暖かい温度で繁殖する腸炎ビブリオのリスクが高くなります。

牡蠣ないし、ゼロリスクの食材は無いという事を理解して、心配な場合は加熱処理をしたものを食べましょう。

マガキの有名産地

広島県

総出荷量、加熱用牡蠣の出荷が全国No.1の広島県。
いくつもの大きな川が瀬戸内海に栄養を運ぶため、牡蠣のサイズがとても大きいのが特徴です。

味はあっさり、加熱調理に向いている牡蠣と言われています。


宮城県

生食用牡蠣の出荷が全国No.1の宮城県。
宮城県を含めた三陸の漁場は沖に開けた形をしているため、海水が滞留せずにとても清潔です。
その為、生食用牡蠣に絶好の漁場とされています。

広島県産が大ぶりであっさり目な味に対し、宮城県産は小ぶりで牡蠣の味が濃いと言われています。

浜によっても味が違う

牡蠣は同じ県でも、場所によって味が変わってきます。

宮城県で言ったら、松島産、石巻産でも味が違うし、石巻の中でも浜によって味は違います。

さらに言うと、生産している漁師さんが違っても味が変わってきます。

ここが一番!というよりは個人の好みが大きいと思いますし、私は全ての牡蠣が美味しいと思っています。

自分のベストな牡蠣を見つけるのも一興かもしれませんね。

結論

今回は牡蠣の旬についてご紹介しました。
初秋~初春はマガキのシーズン。
夏はイワガキのシーズンです。

また、近年の冷凍技術の発達により、生と相違ない味わいの冷凍牡蠣も手軽に味わえるようになりました。

私が個人的におススメするのは、初春に水揚げされる加熱用の牡蠣です。
産卵寸前で一番栄養を貯めている時期なので、味も最高に濃厚ですよ。

時期が来たら当店でも販売しますので、是非ともご利用くださいね。

それでは、良いお魚ライフを~ >゚ )∈

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