冷凍魚の解凍方法|お魚屋さんが教える味を落とさない裏技

こんにちは!震災後Uターンしてお魚屋さんになったひろよしです。
弊社はお魚の冷凍加工品を製造しているので、解凍方法のお問い合わせをよく頂きます。

レンジで解凍して熱が入ってしまったり、冷蔵庫解凍でまだ凍っていたり等、
高品質な冷凍技術で冷凍されていても、解凍方法で失敗してしまっては元も子もないですよね。

お魚はとてもデリケートなので、解凍方法によって味が大きく変わることがあります。
そこで今回は、

  • 簡単で失敗しにくい
  • 味が劣化しにくい
  • 栄養素が流出しない
  • 時間があまりかからない

と、良いとこ取りの解凍方法である『氷水解凍』をご紹介いたします!

美味しい解凍方法とは

解凍する際、もっとも重要な要素が「ドリップの量」です。
解凍したお肉やお魚のお皿のトレイを見ると、何やら透明な液体が溜まっていることがありますよね。これがドリップです。

ドリップは冷凍によって壊れた細胞から染み出した組織液で、旨味や栄養素を多く含んでいます。つまり、ドリップが少なければ味の劣化も少ないと言えます。

解凍方法一覧

まずは、一般的な解凍方法について見てみましょう。

解凍方法 メリット デメリット

解凍方法メリットデメリット
電子レンジ解凍・最も時間がかからない解凍方法・ドリップ量がかなり多い
・失敗する確立が高い。
常温解凍・解凍時間がやや早い・ドリップ量が多い
・暖かい季節では、衛生面での配慮が必要
冷蔵庫解凍・味の劣化が最も少ない・解凍にかなりの時間がかかる
流水解凍・解凍時間が早い(常温解凍の1/3程)
・時間とドリップ量のバランスが良い
・水がもったいない

時間とドリップ量が比例していることが伺えますね。

早く解凍しようとすればドリップ量が増え、時間をかければドリップ量が少なくなります。

バランスの取れている流水解凍ですが、味は冷蔵庫解凍よりも劣ってしまい、水道代も気になるところです。

氷水解凍をオススメする理由

上記では様々な解凍方法をご紹介しましたが、どうしてもデメリットが目立ってしまいます。

そこでご紹介したいのが「氷水解凍」です。

氷水解凍のメリット

氷水解凍

氷水解凍は、

  • 冷蔵庫解凍とあまり変わらないドリップの量
  • 冷蔵庫解凍よりも時間がかからない

という、流水解凍をグレードアップさせたような解凍方法です。

味は落としたくないけど、解凍に何時間もかけるのはちょっと…という方にとてもオススメできる解凍方法なのです。

何故氷水がいいの?

冷凍品の味の劣化は、冷凍による細胞破壊で旨み成分が流れ落ちてしまう事が原因です。
※冷凍による味の劣化については、プロトン凍結の記事に記載してありますので良かったらどうぞ!

旨味成分の流出を抑えるためには、凍る温度帯に近い温度で解凍する必要があります。

お魚が凍り始める温度は0℃~-3℃の間なのですが、氷水の温度は約1℃程度です。凍り始める温度ととても近い温度で解凍できるので、ドリップの量が非常に少ないのです。

それに加えて、水は空気よりも熱伝導率がとても良いので(なんと20倍!)、低い温度でも早く伝わります。

だから氷水解凍はドリップの量も少なく、時間もあまりかからないという訳ですね。

氷水解凍法の科学的な裏付け

さて、上記までで氷水解凍法がなぜ良いかを説明しました。これは、氷水が0℃~-3℃の温度で、魚の細胞が凍る温度とほぼ同じであること、そして水が空気よりも熱伝導率が良いため、解凍時間が短縮され、ドリップ(溶け出した旨味や栄養成分を含む液体)の量が少ないことによります。しかし、これらの事実は科学的な根拠に基づいています。

氷水解凍法を科学的に裏付ける主な理由は、解凍温度と魚の細胞構造に関連しています。魚の細胞は、その構造が非常にデリケートであるため、急速な温度変化により容易に破壊されます。冷凍状態から急激に解凍すると、細胞膜が破裂し、細胞内の液体(旨味や栄養素を含む)が流れ出します。これがドリップの主な原因です。

一方、氷水解凍法では、解凍温度が魚の細胞が凍る温度とほぼ同じであるため、細胞膜が破裂するリスクが大幅に低減します。これにより、ドリップの量が最小限に抑えられ、魚の旨味と栄養素が保持されるのです。

さらに、水の熱伝導率が空気よりもはるかに高いため、氷水に浸すだけで魚の全体を均一に解凍することが可能です。これにより、部分的にまだ凍っている部分や逆に過度に解凍された部分が出るリスクが低減され、解凍後の品質が保たれます。

氷水解凍のやり方


①たっぷりの氷水を用意し、真空パックのまま沈める。
②浮かないようにして、そのまま解凍できるまで放置。

100gのお刺身で、約2時間くらいで解凍できました。
プロトン凍結したお刺身っていうのも相まって、でたドリップは殆どゼロでしたよ。

注意点

・海水魚は、真水にふれると味が落ちてしまうので、必ず真空パックのまま解凍しましょう。

 心配な場合は真空パックの上から、袋に入れて氷水に入れるのもオススメです。

まとめ

ドリップ量は冷凍方法にも依存していますので一概には言えませんが、普通に解凍するよりも高品質なのは間違いありません。
あまり時間が無いけど、折角だから美味しく食べたい!という方におススメの解凍方法なので、是非ご活用下さい。

それでは良いお魚ライフを~>゚))))))))))))))))>=<

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